過去を引きずる男性と関わることが多かった話

なぜか、彼女を亡くした、という人と関わる確率が高いです。

決してメンヘラホイホイとかじゃないと思うんですが、体から幸薄そうなオーラが出ているのかもしれません。

 

恋を失っても、女性は新しい恋愛で過去を上書きしていく人が多いですね。

男性の方が過去の恋愛を引きずっている人が多い気がします。

 

20代の半ばにお付き合いした、バーテンくんもそうでした。

 

その①「置いてきた彼女」

夜のお店で働き始めたばかりだったわたしは、たまの仕事あがりに、同僚の友達だったバーテンくんのお店に行っていました。いちいちかっこつけるそのバーテンくんは、グラスの入った棚を開けるにも指を「パチン」と鳴らし、カクテルを作りグラスに注ぐ時も指を「パチン」を鳴らす。ワンアクション、ワン指パッチンという若干ナルシストキャラでした。

 

いや、そのグラス入ってる棚自動ドアじゃないし、指鳴らしてるけど手動で開けてるし、とは突っ込めなかったわたしも昔は若かったですね。

 

彼は、仕事してる時は自信家に見えるけど、仕事を離れたら優しく笑ってちょっと気弱な普通の男の子でした。

 

それからいろいろありまして、彼とはお互い好意を持ったんですが、お付き合いは一瞬で終わることになります。そこには、彼の元カノの事情がありました。

 

彼は地元でバーテンをする前は、関東でバーテンをしていて、そこのお店のボスの彼女と恋に落ちてしまったんです。いわゆる許されない恋です。恋に落ちた二人の仲は、ボスの知ることとなります。いったんは二人で逃げたのですが、彼だけが拉致されて制裁を加えられた結果、2度と会わないと約束させられて関東を離れることに。

 

彼は、自分がいなくなることで彼女だけは無事でいてくれたらと思ったらしいです。

 

それから3年の月日が流れました。彼が地元でバーテンをして1年たったころ、わたしと知り合って恋をして、「付き合おう」ってなったその日。

 

「彼女が自殺した」って関東の友人から彼に電話が入ったんです。

 

彼の方は、彼女のことをすっかり忘れる、まではいかなくても新しい人生を歩もうとしてたんですが、実は彼女の方は彼をずっと忘れてなかった。「絶対また迎えに来てくれる」って信じて待ってたらしいです。その間、どんなことがあったのかは知らないけれど、、、、彼女は耐えきれずに自殺してしまった、と。

 

「ごめん、付き合えない」って泣きながら電話が来ました。

事情は少し聞いてたけど、まあショックでした。付き合おう、ってなって幸せな気持ちになって正味、数時間です。こんな短い期間で別れたのは最初で最後だと思います。

 

そして次は、30代のときの12歳年下の彼氏。

彼も彼女を自殺で失くしていました。

 

その②摂食障害だった彼女

彼と知り合ったのは、SNSでグループになった地元の女の子たちとの集まりの場でした。「すっごくかわいい男の子がいるの!」といって、グループのリーダーが連れてきたのが彼でした。21歳の彼は、ドラマおっさんずラブに出ていた牧くんこと林遣都似の整ったかわいい顔をした子で、当時のわたしのタイプとは真逆です。年齢差もあり、最初は全く恋愛対象ではありませんでした。

 

しかし、彼が予想外にぐいぐい来る男の子で、何回か一緒に出かけるうちに付き合うことになりました。ここで彼が話したのが「前にも年上の人とつきあってて、彼女も摂食障害で突然自殺した」という話です。だから、もう同じことは2度といやだと。

 

彼の中では、たぶん突然死んでしまった彼女のことが忘れられてなかったんですよね。

彼女とわたしを重ねてたんじゃないかなと思います。

 

そんな彼とも、まもなく別れることに。

理由は「将来への不安」です。

 

12歳差だから、最初からわかってたことなんですけどね。

仕方がない、と思うしかなかったですね。

 

その③「事故で亡くした彼女」

この方はちょっと特殊です。

いわゆるストーカーというやつです。

職場を特定されて、実際来てしまいました。お話しているうちに「やっぱり〇〇に似てる(亡くなった彼女の名前)。思ったとおりだ。〇〇だ。」と恍惚としながら言われて、ダッシュで逃走しました。(あのときの生活安全刑事課の方、お世話になりました)

 

その方の彼女は、かなり昔に事故で亡くなっていて、彼は現在家庭も持っているのに偶然見かけた私を知って「彼女が生きている」と思ってしまったようです。わたし自身は彼に初めて話しかけられるまで、顔すら知らない人だったので、恐怖しか感じなかったのですが・・・

 

人を変えてしまうほどの強い記憶というか、忘れられない思いというのもあるんですね。

 

その④「療養中に出会った彼女」

これは、ホステスをしていた頃の常連のお客さまのお話です。

お客さまは、10代のときに難病になり、病院で長期療養していたそうです。

そこで知り合った年上の彼女が、彼の初恋でした。お互い恋に落ちた二人ですが、彼が先に快方に向かい、退院することになります。大学に入学した彼は、退院してからも毎日彼女に会いに行きました。彼女は、白血病でした。

同じ病気で若くして亡くなった、女優の夏目雅子に似ているとよく話をしていました。

 

彼女を助けるために、アルバイトを山のように掛け持ちし借金もして、治療できる方法があるならとあちこちをかけずり回ったそうです。

しかし、その甲斐もなく、彼女は亡くなってしまいます。最後の言葉は「わたしのことは忘れて幸せになって」でした。

 

当然、彼は忘れることはできません。一生独身でいるつもりでいたそうです。

けれど、人生どんなところから縁があるかわからないもので・・・

40を過ぎたころに、やっと家庭を持ったということでした。

 

このお客さまは私の病気(摂食障害)のことを知っていました。

そして、「絶対に良くなるから」と言ってくれました。お客さまも「もう幸せにはなれない」と思っていたけれど、また再び誰かを好きになって、今は幸せな家庭を持っていると。

 

人間は、失くしたものにとらわれがちです。それが大切なものなら、余計にそうかもしれません。何度も大切なものを失くしてしまうと、「もうこんな思いはしたくない」と思ってしまいます。でも、今までそこにあったものが消えても、それでも時間は流れていくんですよね

 

わたしも、「もうこんな思いをしたくない」と何度思ったでしょうか。

 

そんな私にも、今はしあわせな時間もあります。

人生、そうそう悪いことばかりでもないのかもしれないです。

 

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