【五十嵐貴久原作】新・オトナの土ドラ「リカ」第7話感想

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誰も居ない夜のオフィス。

LINEの画面を開き、本間の机から入手した探偵・原田信也(柏原収史 )の情報をリカに送る千秋(夏菜)。すぐに「既読」の文字が付いたのを確認して、安堵のため息をつく。これで1つ目の依頼は完了だ。もう1つの依頼「本間の会話を聞くための盗聴器の設置」をするために、千秋は会議室に向かう・・・

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第7話あらすじ

オフィスでキャストのオファーの電話をしている本間(大谷亮平)。その机の上には、愛娘・亜矢(稲垣来泉)との写真が飾られている。写真を見つめて微笑む本間。

そこへ、探偵監修の打ち合わせで来ていた探偵・原田(柏原収史 )がやってくる。本間は「すこし相談したいことがある」と、原田と会議室に向かっていった。その様子をリカに報告する千秋。LINEにはすぐに「既読」の文字が。リカは千秋が設置した盗聴器の接続ボタンを操作し、二人の会話の盗聴を開始していた。

 

盗聴の開始

いまのところリカの情報に進展はない。だが、花山病院の事件の捜査をしていけばリカに繋がる糸口が必ずみつかるはずだと話す原田。 「なにか自分にできることはないか」という本間に、会社の受付に「雨宮リカ」を通さないようにと伝える事・非通知の着信は拒否のままにすることなどをアドバイスする。

 

「ストーカーとは、接触しないことが重要ですから」

 

と話す原田の言葉に「ストーカー?」と怪訝な表情をするリカ。自分のことを言われているのに気づいた瞬間リカの表情が一変する。

「リカはストーカーなんかじゃない!」

 

帰り際、本間の机の娘の写真に目を止めた原田は、個人情報を守るためにしまっていたほうがいいとアドバイスする。

受付に置かれる「雨宮リカ・自称28歳」と書かれたメモ。本間は「たちの悪いクレーマー」に狙われているので、この女性が来たら絶対に通さないこと・自分の予定も知らせないで欲しいことを伝え会社を出る。

 

追跡

オフィスを出て歩く本間を呼ぶ声が。

「たかおさん」そこには、リカの姿があった。

たかおさんは誤解している、わたしはストーカーなんかじゃない、たかおさんのことを思って・・・と話すリカを無視して走り出す本間。タクシーに飛び乗る本間に「話を聞いて」というリカ。走り出して安堵したのもつかの間。

 

ふと振り返るとタクシーを大きなストライドで走りながら追うリカの姿が。「もっとスピードを出して!」運転手はアクセルを踏むが、それでもリカは大きく両手を振りかぶりながらタクシーに迫ってくる。

 

「ウソだろう・・・」つぶやく本間。アクセルをさらに踏む運転手。やっとリカの姿が遠ざかっていった・・・

 

信号待ちで、本間に行く先をたずねる運転手。そこへ「バンッ!」とドアを叩く音が。見ると鬼気迫る顔で窓に張り付いたリカの姿が。思わず「うわあああっ!!」と叫ぶ本間。「たかおさん、あけて」ドアをガチャガチャと開けようとするリカ。「たかおさん!あけてえええ!」ドアを壊さんばかりに引っ張るリカ。

 

「運転手さん!出して!!」

運転手を急かす本間。その瞬間信号が青に変わり、車が動き出す。

「なんですか、あれ・・・」恐怖を露にして、ミラー越しにつぶやく運転手。

「まだ追ってきますよ!」と運転手が叫ぶ声に本間が振り返ると、走り出したタクシーを大きなストライドで追走するリカの姿が。恐怖に駆られる本間。

「高速に乗ってください!!」

タクシーが高速に向かうと、リカの足がやっと止まった。

「なんで逃げるの・・・」

 

わたしの家族

やっとリカの追走から逃れた本間。タクシーから降りるとすぐさま探偵の原田に電話し、リカが現れたことを話す。「警察に通報していいか」という本間に「会社の近くに現われただけでは警察は動けない」と原田。原田は本間に、今日はこのまま自宅に帰るよう話し、今夜マンションの見張りに行くと言う。

 

ー本間の自宅ー

自宅に戻り、娘の写真を眺める本間。

 

ーリカの自宅ー

自宅に戻り、千秋からのLINEを見ているリカ。「間一髪でした。本間さんがしまう前に撮りました」メッセージと共に送られてきたのは、会社の机に飾られていた本間と娘の写真だった。「かわいい・・」目を細めてつぶやくリカ。

 

ー本間の自宅ー

自宅で仕事を始めようとする本間だが、リカの恐怖の追走が浮かび、何も手につかなくなっている。そこへ、探偵・原田からの「マンションの前で張り込み中です」というLINEが。

 

ーリカの自宅ー

カッターで自分の写真を切り抜いているリカ。その写真を、本間と娘の写真の横に貼り付け「新しい家族」の写真を作っている。「3人家族。素敵・・・」つぶやくリカの腕の十字が鮮やかに浮き出している・・・

 

ー探偵・原田ー

「終電なので、本日は帰ります」帰っていく原田。今日は何もおこらなかったようだ。

 

ーリカの自宅ー

カラフルな布を前に、ミシンで何かを作っているリカ。

 

花山病院の関係者

「小説家の恋」の映像化は難しいかもしれない、と上司に話す本間。

そこへ探偵の原田が「見て欲しい資料がある」とやってくる。探偵がやってきたことを、リカにLINEで知らせる千秋。しかし、いつもはすぐに既読がつくはずのリカなのだが、しばらく待っても千秋のメッセージに既読がつく様子がない。

 

その時、リカは自宅のミシンで何かを一心に縫っていた。

 

3年前に事件のあった花山病院のスタッフリストが手に入ったという原田。念のため、リストの関係者に心当たりがないか、本間に確認して欲しいという。原田に渡されたリストを読み上げていく本間。そこへ元・花山病院の職員でリカの協力者である千秋が珈琲を持って入っている。本間が読み上げている名前が、花山病院の職員リストであることに気づく千秋。「岡留千秋」本間が読み上げた瞬間、千秋の手が震える。離婚によって現在は名字が変っているが、紛れもなく千秋の名前だ。しかし、本間に気づいた様子はない。逃げるように部屋を出る千秋。

 

リカの部屋。ミシンで仕上げた子供用のワンピースを眺め「いい感じ」と微笑む。

千秋のLINEにようやく気づいて電話をかけるリカ。二人の話をしていた内容は聞けたのか、というリカに口をつぐむ千秋。苛立ったリカは「何のためにあんたがいると思っているの。さっさと話しなさいよ!!」と怒鳴る。千秋は、探偵の原田が本間のマンションに見張りのために通っていることを話す。

原田の写真を見つめ「死ねばいい」とつぶやくリカ。

 

死ねばいい

雨の夜。原田が見張りのために本間のマンションの前に立っている。

時計を確認し「異常なし、終電のために帰ります」と本間にLINEして帰ろうとする原田。その背後にフリルの傘を持つ人影が・・・・

気配に気づいて振り返る原田。そこには、リカが何かを入れた注射器を振りかざして立っていた。ひるむ原田の視界に、リカの狂気が迫っていく・・・

 

会社でニュースを見ている千秋。アナウンサーの「昨夜、隅田川で男性の遺体が発見された」という言葉とともに映し出される、探偵の原田の姿。「何らかの原因で川に落ち溺死したと思われる」というニュースを聞きながら、息を飲む千秋。

出勤前、自宅でニュースを見る本間も衝撃を受けている。

 

坂井に続いて原田さんまで・・・こうも身近な人間が亡くなるとはな、という部長に、リカの件を話そうとする本間。そんな本間に受付からの内線が入る。

「本間さんにお客さまがいらしています」

 

事件の行方

本間をたずねて、警視庁捜査一課の菅原刑事(藤岡正明 )がたずねてきた。リカの件で、原田が警視庁時代の同僚にも相談していたのだ。昨夜の原田の件で聞きたいと言う菅原刑事を会議室に案内しようとする本間。それを遮り「会議室が開いているか見てくる」と言って盗聴器を外しに行く千秋。

「もうムリ・・・」アシスタントの坂井に続き、探偵の原田まで殺害するリカの命令にこれ以上従えないと千秋も感じていた。

 

会議室で話す菅原刑事と本間。本間とのLINEを見せ、何かあったとすれば自分のマンションからの帰りだ、と話す本間。警察は事件性がないとみている、と話す菅原刑事。本当に事件性はないのか、と聞く本間に、自分は不審な点があると疑っていると話す菅原刑事。原田が肌身離さず持っていたはずの、タブレットと携帯もまだ見つかっていないことに疑念があるという。

 

実は、原田のタブレットと携帯はあの日リカが持ち去っていた・・・・

 

原田と本間のつながりを知っている人物は他にいないのか、と聞く菅原刑事。亡くなったアシスタントの坂井以外にはいないと話す本間だが、リカと関わった人間ばかりが亡くなっているのは不自然だ、捜査できないのかと詰め寄る。しかし、原田の死についてはいまのところ事件性がないので帳場(ちょうば・捜査本部)が立てられない。帳場が立たないと「警察」としては何もできないのだという菅原刑事。だが、原田とはかつて同僚だったこともあり、彼の無念を晴らすために個人的に調べたいと思っているのだという。

 

協力者

家族が狙われないためには妻にもリカの話をしていた方がいいという菅原刑事。安全のために外では家族に会わない方がいい、身の回りの物が無くなったり不審なことはないかと尋ねている途中、千秋が珈琲を持って入ってくる。「おそらく、雨宮リカには(本間の)情報を渡している協力者がいる」と話す菅原刑事。それを耳にした千秋は、慌てて珈琲を出すと足早に立ち去る。オフィスに戻った千秋は「体調が悪い」と言ってそのまま早退して帰るのだった。

 

本間のマンション。所轄の警官が1人警備に立っている。

部屋では、本間が妻にリカのストーカーの件を説明していた。マンションから家族を遠ざけようとしていたのもそれが理由だったのね、と納得する妻。ひとりで抱えないで話をしてくれたら・・・という妻に、今度の事件で家族の大切さがわかったと話す本間。

 

リカの部屋。盗聴器も千秋の電話もつながらないことで「逃げたのね」と舌打ちするリカ。部屋に飾られた、本間と娘の亜矢・リカの疑似3人家族のコラージュ写真を手に取る。じっと写真を見つめるうちに、写真の隅に文字が写っていることに気づく。

「亜矢ちゃんていうのね。杉岡小学校・・・」つぶやき、何かを思いついたような表情のリカ。

 

娘の失踪

千秋の携帯に電話してもつながらない、と話をしている本間の会社の面々。千秋はあの日から無断欠勤していた。千秋の家の電話が履歴書に乗っていないか、という部長。面接を担当していた本間は、電話番号を調べるために千秋の履歴書のファイルを開く。するとそこには、「花山病院」の文字があった。まさか・・・と原田に渡されたリストを思い返す本間。名字は違うが、千秋と言う名が確かに確かにあった。。

すぐさま菅原刑事に電話して、例の「協力者」が自分の部署の千秋である可能性を話す。千秋の今日の無断欠勤は、今回の事件と関係がある可能性が高い。調べてもらえないか、と菅原刑事に頼む本間。

 

蔦の絡まる花山病院が映し出される。

リカの部屋。リカが冷たい床に倒れたまま、大矢の思い出のハーバリウムを眺めている。アシスタントの坂井、探偵の原田の死の場面の回想。リカの手が大矢との思い出である「ペアン鉗子のハーバリウム」に伸びかけたその時、

「杉岡小学校・・・」

リカが立ち上がり、どこかに向かって歩き始めた。

 

 打ち合わせをしている本間の携帯が鳴る。妻の葉子だ。娘の亜矢が帰宅時間になっても帰ってこず、心当たりを探してもどこにもいないというのだ。本間のマンションに戻っている可能性があるかもと、仕事を切り上げて帰る本間。事件の可能性も考え、菅原刑事にも連絡し対応を依頼する。

 

自宅マンションで話す本間と妻・葉子。リカと連絡を取る手段はないのか、という葉子。リカからは非通知でしかかかってこない上に、今は非通知を着信拒否していると話す本間だったが、リカが娘を誘拐している可能性を考え携帯の非通知拒否を解除する。

 

その頃リカは「どうしてつながらないの・・・」と携帯を見つめていた。「お願い、つながって・・・」悲痛な表情で発信ボタンを押すリカ。コールが鳴り始める。

「つながった・・・!」

「はい」電話に出る本間。

やっとわたしの話を聞いてくれるのね、というリカ。たかおは誤解している、リカはストーカーなんかじゃないから、と続ける。邪魔な探偵もいなくなり、これでやっと二人っきりになれるね、と嬉しそうに話すリカ。「違った、たかおさんとわたしと、亜矢ちゃんと・・・」とはしゃぐように言うリカに、なぜ娘のことを知っているのかと問うたかお。たかおとは家族なのだから、知っているのが当然だというように答えるリカ。

亜矢を出してくれ、という本間の質問に「何をいってるの?」噛み合わない返事を返すリカ。亜矢をひどい目に合わせたら許さない、という本間に「そんなことするわけがない。亜矢ちゃんとーっってもかわいいもの」とリカは笑う。

リカの対応に苛立ち、思わず「亜矢を返せ!」と怒鳴る本間だったが、それを聞いたとたんリカが怯えて頭を抱える。「怒鳴らないで・・・・」

まだ怒鳴ろうとする本間を制止する妻。携帯を抱えてうずくまるリカ。

 

リカは子供の頃、母親に虐待されていて「怒鳴り声」でそのトラウマが蘇るのだ。少しでも気に入らないことがあると、怒鳴られ、くつべらなどで腕をあざができるまで叩かれていたのだという。怒られたり叱られたりするたびに、心が死んでいくような気がしていたと話す。親の都合で子供を不幸にする母親にだけは絶対にならない、と絞り出すようにつぶやくリカ。

リカが辛い思いをしていたのは理解したが、娘の亜矢には関係ないという本間。しかしリカは「大ありよ。わたしたち家族になるんだもの」という。さっきまで怯えて小さくなっていたのがウソのように「わたし、亜矢ちゃんだけは辛い目には合わせないから」と強い口調で言いながら立ち上がるリカ。

 

とにかく亜矢に会わせてくれ、という本間に「言っている意味がわからない」という様子のリカ。「お願いだからわたしをちゃんと見て。たかおさんに嫌われたら生きていけない。どうなっちゃうかわからない」と声をあらげ、自分の気持ちをわかってくれるまでは連絡しない、と告げて電話を切るリカ。ツーッツーッと切れた電話を前に取り乱す妻の葉子。本間は菅原刑事に、リカから電話があったことや娘の亜矢がリカに誘拐された可能性を告げ、助けを求める。

 

リカの部屋。

花模様の愛らしい手縫いのワンピースがテーブルに置かれている。それを両手に抱え、どこかに向かって歩いて行くリカ。立ち止まった視線の先にはベッド。そこには、小さい子供の両足がぴくりとも動くことなく横たわっている。「死ねばいい」つぶやくリカの視線の先は・・・

 

 第7話感想

五十嵐貴久原作の新・オトナの土ドラ「リカ」もいよいよ次回で最終話です。

あの小説をどうやって4話に収めるのかと思ったら、この展開の速さ。今回の第7話は、リカの容姿の不気味さがなければ映像的に厳しいかなと思っていた「タクシーの自力追跡シーン」も再現されていて見どころの多い放送です。普通にあんなのが追いかけてきたら本間でなくても「うわあああっ!」てなりますね。あのシーンは、なぜか恐怖とコミカルさが同時に来る不思議な場面でした・・・。高岡早紀さんがやると美しさと行動の異様さのギャップがシュールです。でも追跡シーンでは顔のアップでの目じりの皺や刻まれたほうれい線、血色の悪い顔色など・・・原作で「美の残骸」と表現されていたリカの雰囲気もちょっと感じられました。このシーンだけ、すでに3~4回くらい再生して見ています。

 

ふだんあまり刑事ドラマを見ないので、菅原刑事の「帳場(ちょうば)」という言葉の意味がわからず思わずこちらのサイトで調べてしまいました。「捜査本部」という意味だそうです。

sumim.no-ip.com

 

次回、新・オトナの土ドラ「リカ」いよいよ最終話です。原作とは違う部分も多いので最終話の前に読んでみるのもおススメです。五十嵐貴久の原作「リカ」のラストは陰惨すぎて映像化できないと思うのですが、ドラマがどのように描くのか・・・?どこまで描くのか・・・?怖いけれど、楽しみです。

 

「リカ」シリーズ時系列 ※タイトル前の数字が刊行順

 

③「リバース」(雨宮家の家政婦、幸子の視点で描かれたリカの幼少期の話)

④「リハーサル」(ドラマ第1部。花山病院が舞台。「リバース」の約20年~25年後の世界)

①「リカ」(ドラマ第2部の舞台。ドラマ第1部から約3年後の世界)

②「リターン」(「リカ」から10年後の世界。リカの起こした事件を追う女刑事の目線)

 

「リメンバー」(2019年12月頃刊行予定)

 

【放送予定】

毎週土曜日 23:40〜24:35

◆第1部:放送終了

原作 五十嵐貴久「リハーサル」)

◆第2部:2019年11月9日(土)〜2019年11月30日(土)

(原作 五十嵐貴久「リカ」)

 

 

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