オトナの土ドラ「悪魔の弁護人」第3話~5話が放送されました。
中山七里の御子柴弁護士シリーズ第3作「恩讐の鎮魂曲(レクイエム)」が、ドラマの第3話・4話・5話(第一部最終話)の原作となっています。
「悪魔の弁護人」は、原作ではより深く、御子柴礼司や「犯罪を犯した人たちの心理」を知ることができます!
ドラマ「悪魔の弁護人」のあらすじや原作ネタバレも含めて紹介していきたいと思います。
「悪魔の弁護人」御子柴礼司~贖罪の鎮魂曲 第3話
どんなに不利な裁判でも、お金さえ積めば必ず勝訴する。
「悪魔の弁護人」と呼ばれる御子柴礼司は、かつて少年犯罪を犯し「死体配達人」と呼ばれた少年Aだった。
御子柴(要潤)がかつて殺人を犯した元少年Aであることが世間に知れ渡る。当然のように巻き起こる非難の嵐。そんな中、大ケガを負い入院を余儀なくされる御子柴(要潤)の元に、とあるニュースが飛びこんでくる。医療少年院時代の担当教官・稲見(勝野洋)が、入居する老人ホームで介護士の栃野守(小多田直樹)を殺害した容疑で逮捕されたというのだ。稲見は容疑を認めており、食事介助中の事件だったこともあり目撃者も多数いるという。 テレビ画面に映る稲見を睨むように見つめる御子柴。その様子に洋子(ベッキー)は不安を抱くが……
そんな洋子の不安は的中する。御子柴は強引なやり口で再び弁護を国選弁護人の宝来(本村健太郎)から強奪。警察の面会室で、稲見と対峙する。その結果、御子柴は間違いなく稲見が栃野を殺害したことを確信。有罪判決は免れない状況だった。
「教官、なぜそんなに落ち着いていられる。これはあんたの裁判だ。負ければ一生刑務所の中だぞ」
「俺は自分がしたことを受け入れるつもりだ。罪を逃れようなんて思っちゃいない」
「あいつは復讐するつもりなんだ」
違法すれすれのやり口で弁護を奪われた宝来は、次席検事の岬(津田寛治)に御子柴の狙いを告げ口する。岬はそんな宝来を軽くいなすが、御子柴を法曹界から追い出すためのある策を宝来に授ける。少年法に守られ、罰から逃れた御子柴を許すわけにはいかない。岬は再び、法廷に立つ決意を固める。今度こそ、御子柴に引導を渡すために。
そんな中、司法担当記者のあすみ(玄理)が、新たな情報を入手する。それは、御子柴がかつて医療少年院に入院していた時に、脱走騒ぎを起こしていたという事実だった。そしてその脱走を阻止したのが稲見だという。 果たして、御子柴と稲見の間にはどんな因縁があるのか。御子柴の本当の目的は何なのか!? 第二章・老人ホーム介護士殺害事件の裁判の幕が上がる!
引用:東海テレビ公式HP「悪魔の弁護人」より
「悪魔の弁護人」第3話あらすじ(原作ネタバレ)
御子柴弁護士(要潤)は、「本当は殺していない、えん罪なのでは?」と思っている視聴者も多かったのでは。このあたり、ドラマではあまりはっきりと表現されていないけれど、小説を読むと「死体配達人」の行動や心理も具体的に書かれている。
御子柴(かつての少年A・園部信一郎)は、確かに幼女を殺害し、その遺体をバラバラにして配達した「死体配達人」だった。
殺した理由は、「殺したかったから」。
少年時代の園部信一郎(御子柴礼司)にとっては、テレビのチャンネルを変えるのと同じような感覚で「殺してみたいと思ったから、殺した」。
そこに世間が納得するような、明確な「理由」はなにもない。
そんな御子柴が人間に戻ることができたのが、かつての医療少年院での担当教官・稲見(勝野洋)と、ある少女の弾くピアノとの出会いだった。
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御子柴の恩師である稲見が、入居先の施設で口論となり、介護士を殴打して殺害。
御子柴は自分を人間にしてくれた稲見を、どうしても救いたいと奔走する。
しかし、事件の現場である老人ホームの入居者たちは、どうも様子がおかしい。介護士が殺害された状況の証言も、微妙に食い違う。違和感を感じた御子柴は、体が不自由な入居者・後藤の体を見て、虐待のあとを見つける。再度入居者に体を見せてもらうと、みんな同じような痣や傷が。
証拠写真を撮った御子柴を、老人ホームの介護士が背後から襲ってきた!
(原作では、ホームの所長・職員ぐるみで入居者の虐待をしている)
介護士を撃退した御子柴は事務所に戻るが、前回刺された傷が開いてしまう。
心配する事務員の洋子(ベッキー)に、裁判が終わるまでは病院に行かないという御子柴。
ついに裁判が始まった。
御子柴は、稲見の「無罪」を争点として弁論すると宣言。
ところが、裁判の冒頭に稲見は「どうしても伝えたいことがある」と裁判官に告げる。
その様子を見て「やめろ!」と叫ぶ御子柴だが、稲見は「自分に罰を与えてくれ」と裁判官に告げる。
「悪魔の弁護人」第4話・5話あらすじ、事件の真相
放送前だけれど、原作小説からのネタバレを。
稲見が車椅子になってしまったのも、医療少年院時代、御子柴と友人が脱走を試みた際に揉み合いとなって刺したのが原因だ。その脱走の際に、友人は車にひかれて亡くなった。稲見は御子柴が刺したのは「揉み合いで偶然刺さった」とかばう。
歩けなくなった稲見は、そのまま教官を辞めることとなる。
稲見は教官時代、家族のすれ違いから妻と子と離別していた。
ちょうどその頃、14歳の御子柴が医療少年院に入所してくる。
稲見は御子柴に自分の息子を重ねていたのだろう、と稲見の元・妻は言う。
裁判で有利になるための証言集めで、稲見の元妻の家を訪問した御子柴。
(ドラマでは、なぜかベッキーが訪問している)
そこで、稲見の息子が不幸な事故で亡くなっていることを知る。
電車が入ってくる際に、ホームに落ちた老人を助けて轢かれてしまったのだ。
当時の新聞を見て、見覚えのある名前に気づく御子柴。
それは、事件がおきた老人ホームで虐待されていた後藤だった。
テレビで老人ホームを取り上げた映像を偶然見て、息子が命を救った老人の姿を見つけた稲見。老人のその後が気になり、同じホームに入居することにする。
ところが、そのホームは弱者に常態的に虐待を行う施設だった。
亡くなった息子が救った老人・後藤は、特にひどく虐待されていて、いつも稲見がそれをかばっていた。
あの日、ほんとうは何がおこったのか。
車椅子の老人が反撃するまで、亡くなった介護士の栃野守(小多田直樹)は何の抵抗もしなかったのか。実は、介護士の栃野があのとき虐待をしていたのは、稲見ではなく、後藤だった。
後藤の命の危険を感じた稲見は、息子が救った命を助けるために、栃野を殴って殺したのだ。
裁判で虐待の証拠を提出し、「稲見の行為は<緊急避難>のため、無罪」だと述べる御子柴。<緊急避難>とは、日本の裁判で争点になることはめったにない、特殊な事例だ。
刑法第三十七条<緊急避難>
一、自己または他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危機を避けるため、やむえずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。
ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を軽減し、又は免除することができる
実は殺された介護士の栃野は、過去に旅客船ブルーオーシャン号の沈没事故に遭遇。
その際、同じく乗船していた女性を殴り、救命胴衣を奪って助かっていた。(女性はこれで死亡している)
その様子が動画に残っていたことから、栃野は起訴されるのだが、この<緊急避難>によって無罪となっていたのだ。
ここで稲見は「ひとこと言いたい」と裁判官に発言を求める。
殺された栃野は「俺は以前、人を殺した」と入居者への脅し文句にしていた。
栃野は「何度も殴る蹴るをして、抵抗できないようにした。溺れる前に殺してやったんだ」と後藤を脅しながら言っていたという。つまり、明確な殺意があったということだ。
「自分も、確実な殺意があった」と認める、と言う稲見。
自ら不利な発言ばかりを行う稲見に、叫び出しそうになる御子柴。
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場面は変わり、最終弁論の日
ホームの老婦人、小笠原栄が証人として登壇する。
稲見に言われて、ホームの入居者全員が口裏を合わせていたという栄。
もしホームの虐待が公になれば、自分たちの終の住処(ついのすみか)もなくなっていまう。それを防ぐために、自分ひとりの責任としてみんなで口裏を合わせるように、稲見が指示を出していたのだと言う。
しかし、御子柴の出した質問で法廷がざわつく。
実は小笠原栄は、船の転覆事故の際、介護士の栃野に殴られて救命胴衣を奪われた女性・日浦佳織の祖母だった。栄は、稲見と同じようにテレビでホームの様子を見た際に、孫娘を殺した介護士・栃野の姿を見つけて入居したのだ。
栃野の暴力から後藤を守ってくれ、と稲見に再三要請していた栄。それが稲見を<緊急避難>に向かわせた要因のひとつではないか、と質問する御子柴。
栄は、自分では手を下すことなく、人に復讐させようとしていたのではないか。
だが、栄は「記憶にない」と答えるだけだった。
稲見は、理由はどうであれ自分のやったことは償わなければならない、と主張する。
御子柴の奮闘もむなしく、裁判は懲役6年の宣告で終了した。
稲見は、介護士の栃野に殺されたのが栄の孫娘だったことにも、自分へのそそのかしにも気づいていた。だが、自分のしたことは彼女の復讐とはまったく関係ないという。
大事なひとを助けられないなら、自分の仕事など必要ない、という御子柴に「少年院を出る時の誓いを実践しているんだろう?自分の仕事など必要ないなんて言うな」と言う稲見だった。
(第4話・5話あらすじは、原作を元に書いています)
<5話放送後、追記>
ドラマ第5話では、御子柴が人間らしい心を得たきっかけは、医療少年院での仲間・嘘崎雷也(うそざき らいや)の死でした。そして、雷也の母親が好きだったのがピアノソナタとなっています。この曲は、弁護士となった御子柴がよく聞いている曲です。
原作では、御子柴が人間らしい感情を知るのは医療少年院の女子受刑者・島津さゆりのピアノソナタです。(さゆりのその後は、中山七里著「連続殺人鬼カエル男」で読めます)
その後、母親に縁を切られたことによる嘘崎の首つり自殺、もう一人の仲間である夏本次郎が母親に会いたいがために脱走し、事故死します。
稲見教官との出会い、さゆりのピアノとの出会い、嘘崎雷也と夏本次郎の二人の仲間との出会いと死。これらが、「虫も動物も人間の命も同じ」と思っていた御子柴の世界を変えるきっかけとなりました。ドラマではこの部分がかなりタイトにされていたため、視聴者にとっては御子柴の変化が唐突に感じられたのではないでしょうか。
原作は、「どんでん返しの帝王」中山七里
原作小説家の中山七里は、第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した作者で、ラストで物語の世界観をひっくり返す、どんでん返しが有名。
「どんでん返しの帝王」とも呼ばれている。
最後の数ページで、「えっ?」と予想をひっくりかえす展開が非常に楽しい。
御子柴弁護士シリーズは、現在4作まで刊行されている。刊行順で
①「贖罪の奏鳴曲(ソナタ)」
③「恩讐の鎮魂曲(レクイエム)」(第3話・4話原作)
④「悪徳の輪舞曲(ロンド)」
「悪魔の弁護人」第3話・4話・5話のシナリオは、原作小説では3作目となる「恩讐の鎮魂曲(レクイエム)」にあたる。
各シリーズは、それぞれ独立して読んでも楽しめる。が、出来ればシリーズ1作目から読んだ方が最大限に楽しめる。
ベッキーのセリフの真実味
第3話で「罪を犯した人は前を向いて歩いちゃいけないのかな」や、第4話で御子柴に鬼気迫る表情で「過ちをおかしてしまった人」の生き方を語った洋子(ベッキー)。
原作の御子柴事務所の事務員・洋子はこんな熱いセリフを言うキャラクターではないし、存在感もそこまで強くないのですが、これはベッキーのためのキャラクター設定ですね。
どんな気持ちでベッキーはこのセリフを言ってたんでしょうか。
いろいろと経験した彼女が言う分、とてもリアリティがありました。
【東海テレビ公式HP「悪魔の弁護人~御子柴礼司 贖罪の奏鳴曲(ソナタ)」キャスト&相関図】
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【オトナの土ドラ「悪魔の弁護人~御子柴礼司 贖罪の奏鳴曲(ソナタ)」放送予定】
◆毎週土曜 23:40~
※次回、第6話放送日 1月11日(土)23:40~