オトナの土ドラ「悪魔の弁護人」第1話・2話感想 実在の事件を想起させる元少年A・御子柴礼司

「この”少年A”って・・・」

 

12月7日に放送スタートした、オトナの土ドラ「悪魔の弁護人」

ドラマを見た30代以上の人は、”少年A”という言葉で、1997年に起きた「酒鬼薔薇事件」思い浮かべたのではないだろうか。

たが、それより遡ること30年前。1969年、川崎市で起きた「高校生首切り事件」の被告で、後に弁護士となった元少年Aの方が、ドラマの主人公である御子柴礼司の設定に近いかもしれない。

「tsuioku no nocturne」shichiri nakayama

「追憶の夜想曲ノクターン)」中山七里

 

「悪魔の弁護人」御子柴礼司~贖罪の鎮魂曲 第1話

どんなに不利な裁判でも、お金さえ積めば必ず勝訴する。

「悪魔の弁護人」と呼ばれる御子柴礼司は、かつて少年犯罪を犯し「死体配達人」と呼ばれた少年Aだった。

暗がりの中、黒い服を着た少年が立っている。
その足元には人形のように動かない幼い少女。
少年はおもむろにバッグから鋸を取り出し―――

***

「ここだ…」
失職中の日下部洋子(ベッキー)が訪れたのは、無残に割られた『御子柴法律事務所』というプレートが掲げられた事務所だった。恐る恐る入ってみると、男が1人、ソファに寝ている。御子柴礼司(要潤)、この事務所の主だ。その目がパッと開かれる。
「時間に正確だな。採用しよう」「え?」

当惑しながら同行した法廷で洋子が目撃したのは、被害者の母親から「悪魔!」と罵られ平然と受け流す御子柴の姿だった。高額な報酬さえもらえばどんな手段を使ってでも依頼人を勝訴に導く“悪魔の弁護人”、それが御子柴だった。割れた事務所のドアプレートも、裁判で負けて恨みを抱いた相手の仕業だったのだ。悪人を弁護することに抵抗はないのかと聞く洋子に御子柴は言い放つ。
「もらえるものをもらえば何でもする。それがうちの方針だ」

そんな中、御子柴は東京・世田谷で起きた主婦・津田亜季子(奥菜恵)の夫殺しの裁判に興味を示す。それは一審で懲役16年の有罪判決が下された事件だった。不倫の末、夫を殺害し子供も捨てようとした身勝手な被告人……世間の評判は最悪だった。だが、御子柴は亜季子の裁判を担当する弁護士・宝来(本村健太郎)に圧力をかけ強引に担当を交代する。財産もない普通の主婦をなぜ弁護するのか、困惑する宝来。

 

一方その頃、東京地検のナンバー2、次席検事の岬恭平(津田寛治)は、『世田谷の夫殺し』の弁護人が御子柴に変わったと報告を受けていた。すぐさま「この事案は私が担当する」と宣言する岬。岬はかつて自分が担当していた裁判を、御子柴に控訴審でひっくり返された過去があったのだ。
「私が控訴審にも立っていればそんなことはさせなかった」
法が定める罰こそが秩序を守ると信じる岬にとって、御子柴のような弁護士は野放しにしておけない存在だったのだ。

亜季子の周辺を調べる御子柴。だが状況は最悪だった。犯行を認めたうえで動機も理解できるものではなく、有罪を覆すことは到底不可能に思える。
 洋子がルームシェアしている新聞社の司法担当記者・桜葉あすみ(玄理)も、せいぜい情状酌量減刑を勝ち取るのが関の山だと高をくくっていた。

だが、ついに始まった初公判で口を開いた御子柴の言葉に、法廷は騒然となる。
「弁護人は、殺意の不在を理由に被告人津田亜季子の無罪を主張します!」
果たして御子柴の狙いは?
逆転に次ぐ逆転、驚愕の法廷ミステリーが幕を開ける!

引用:東海テレビ公式HP「悪魔の弁護人」より

https://www.tokai-tv.com/akumanobengonin/story/01.html

 

 

 

第1話・2話 感想

要潤演じる「悪魔の弁護人」御子柴礼司の少年時代、衝撃シーンから始まるこのドラマ。 事務員の洋子(ベッキー)が、弁護士事務所内で御子柴の私物を勝手に漁るわ、持ち出すわ、友人の記者に事務所の仕事内容を漏らすわ、「こんな事務員いたら、即効クビだわ・・・」という感じだが、あくまでドラマなのだろう。

 

鉄面皮の御子柴弁護士(要潤)のストリートファイトのような裁判のシーンが見どころだった。

「亜季子(奥菜恵)が誰をかばっているのか」は、視聴者のほとんどが気づいていたと思うが、事件の真相はなんとも後味が悪い結末に。

 

原作小説「追憶の夜想曲ノクターン)」では、そのあたりがもっと詳細に描かれていて、ドラマではさらっと流された部分も知ることができる。御子柴は本当に「死体配達人(元少年A)」の犯人なのか?というのもドラマの視聴者には気になるところ。

 

「悪魔の弁護人」御子柴礼司の過去については、原作小説を読めばいち早く知ることができる。

 

 

原作は、「どんでん返しの帝王」中山七里

原作小説家の中山七里は、第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した作者で、ラストで物語の世界観をひっくり返す、どんでん返しが有名。

「どんでん返しの帝王」とも呼ばれている。

 

オトナの土ドラ「リカ」もそうだったが、土ドラは原作小説も非常に面白い。そして、原作とドラマの違いを見ていくのも非常に楽しい。

というわけで今回も、原作小説・中山七里「御子柴弁護士シリーズ」さっそく購入。(ちなみに原作小説のタイトルには「悪魔の弁護人」という文字はない)

 

御子柴弁護士シリーズは、現在4作まで刊行されている。刊行順で

 

①「贖罪の奏鳴曲(ソナタ)」

②「追憶の夜想曲ノクターン)」(第1話・2話原作)

③「恩讐の鎮魂曲(レクイエム)」(第3話・4話原作)

④「悪徳の輪舞曲(ロンド)」

 

「悪魔の弁護人」第1話・2話のシナリオは、原作小説では2作目となる「追憶の夜想曲ノクターン)」にあたる。

各シリーズは、それぞれ独立して読んでも楽しめる。が、出来ればシリーズ1作目から読んだ方が最大限に楽しめる、と「追憶の夜想曲ノクターン)」のあとがきにもあるとおり、これから読むなら刊行順に読むのをおススメする。

 

少年犯罪の闇 

ドラマを見るにあたり、「悪魔の弁護人」の主人公である”御子柴礼司”の設定のきっかけとも思われる、約半世紀前に川崎市で起きた「高校生首切り殺人事件」のことを少し調べてみた。(この事件の類似事件と言われているのが「酒鬼薔薇事件」)

 

事件の被告人である少年Aは、少年院を出たあとに進学し、弁護士となり弁護士事務所を開設したとある。書籍やテレビ番組、弁護士となった本人(元少年A)のインタビューなどで話題になったせいか、この事件の情報は多いが、それだけに偏った報道のイメージが多い印象。(少年Aはすでに弁護士を辞めている)

 

事件を知るうちに、少年犯罪の闇の深さ、それを報道する側の印象操作というのを非常に考えさせられる事件だった。ふだんわたしたちは、テレビの報道やネット・新聞や本などで事件の概要を知るわけだが、その情報が一次情報でない限り、誰かの意思のフィルターがそこに介入している。 けれど、それが悲惨だったりセンセーショナルであればあるほど、目にしたり耳にした情報そのものが、「真実」であるかのように思い込んでしまう。

 

それに気づかないのは、非常に怖いことだ。

(この事件は「元少年Aが弁護士となった」という部分は「悪魔の弁護人」の御子柴礼司と似ているが、事件の背景・人物などはまったく異なる)

 

第2話で、御子柴(要潤)が「元・少年A」だと知った洋子(ベッキー)の友人で記者のあすみ(玄理(ヒョンリ))は、裁判中にも関わらず御子柴の正体を報道しようとする。

御子柴は裁かれなければならない、というようなことを彼女は言うのだが、その姿を見ながら「それは誰のための正義なのか」という言葉が浮かんだ。

 

ー次回・第3話に続きます。ー

 

東海テレビ公式HP「悪魔の弁護人~御子柴礼司 贖罪の奏鳴曲(ソナタ)」キャスト&相関図】

www.tokai-tv.com

 

【オトナの土ドラ「悪魔の弁護人~御子柴礼司 贖罪の奏鳴曲(ソナタ)」放送予定】

◆毎週土曜 23:40~

※次回、第3話放送日 12月21日(土)23:55~

 

 

  

 

 

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