パレードな夜

 

胸のうちに抱えたものを誰かに打ち明けられるのは、良いことだと思います。

 

自分の病気や家庭環境を誰かに話すことは少なかったけれど、それでも助けてくれた人たちはいました。

たぶん、いま私が生きているのは、その人たちのやさしさのおかげです。

 

振り返ってみれば、いろんな人に助けられてきた。

住む場所も見つからないまま家を出た私を、一ヶ月間家に置いてくれた叔母。

普通の女の子みたいな幸せはたぶん望めないだろう、と思っていた私が初めて恋をした彼氏。


長期入院後、いつ発作が起きるかわからず、社会復帰は無理かも…と思っていた私を「1時間しか出勤できなくてもかまわない」と、店に置いてくれたママとマスター。
それを迎えてくれたお客さまたち。


仕事中、発作がおきて夜間救急に向かうとき、他のお客さまに知られないように、何度も運んでくれたタクシーの運転手さん。

 

トラブルに巻き込まれ住む場所を失い、会社や家族にまで迷惑が及んで、自分のせいだ…と自己嫌悪でいっぱいになった時
『君は悪くない』と助けてくれ、その後もずっと気にかけてくれた刑事さん。


24の時から、わたしをずっと診てくれている、主治医の先生。会うたびに『君はもっと幸せになっていいんだよ』と私に言う。


仕事でとても辛いことがあって、続ける自信がなくなった時、助けられたある人の言葉。

食べるとなんだか気持ちが落ち着くたこ焼きと、それを焼く人。
ふんわりホカホカのたこ焼きのように、優しすぎるそのお店に集まる人たち。

 


生きてれば、悲しいことも苦しいこともたくさんたくさんやってくるけれど。
振り返ってみれば、そういうものは生きてきた道の中にゆっくり染み込んで。

道の上には、出会った優しさたちだけが並んでいる気がする。
パレードみたいに。


だから、今がどんなときだとしても。振り返ったときに、自分の後ろに出来ているのはきっと、優しさのパレードなんだと思いたい。


そんな前向きなことを思いながら、今夜もスーパーネガティブな役を舞台で演じる土曜の夜です。

 

 

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