食べる病気も長くなると、お菓子作りが上達します。
基本的に摂食障害の人は、作ったものを自分で食べず、人に食べさせることが好きな傾向があります。私も休日はよく、1日中台所に立ってストックを作っていました。
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当時よく作っていたのは「パルミエ」というパイ菓子
生地さえ作ってしまえば冷凍ストックも出来るし簡単です。
作ったパイ生地をのばして卵白とざらめを塗って両端からくるくる巻いて、冷蔵庫で寝かせてから包丁でスライス。断面に卵黄と砂糖を振って、トースターで焦げ目ができるまで焼いたら出来上がり。手作りは市販品より歯ごたえがあり、美味しいです。
冷凍パイシートは楽ですが、歯ごたえがないのでどうも苦手です。
究極にお金がない。そして家には、小麦粉、卵、油、塩、砂糖だけ
これでもお菓子は作れます。しかも美味しい。
フランス菓子、中華菓子、和菓子などいろんなお菓子作りの本を読んで作ってみたのですが、一番材料がシンプルで美味しいのはフランスの伝統菓子でした。
ご紹介するのはカーニヴァルなどで提供される「メルヴェイユ」という揚げ菓子です。
大森由紀子さんというフランス菓子・料理研究家の方の本を読んで知ったのですが、この方のレシピはどれも最高に美味しいです。(20年ほど前に見た本なのですが、残念ながら当時のタイトルは見つけられませんでした。
貧乏生活をしていた時に、よく作っていたメルヴェイユ
このお菓子は、ボールとか使いません。
まず、まな板に小麦粉(中力粉でもいいです)を広げてください。
小麦粉の山に窪みを作って、卵、少しの水とサラダ油、塩、砂糖を適量入れて、あとは擦り混ぜるようにこねます。お菓子作りで「生地を切るように混ぜる」とかありますが、これはこねても大丈夫です。
生地がまとまったら、少し休ませてから薄くのばします。
包丁で3~4センチの長さの短冊状に切って、真ん中に切り込みを入れてひねる。
あとは、フライパンに油を熱して、きつね色にあがったら、砂糖(好みで塩)をまぶして完成です。
本来は「グラッパ」というお酒を入れるのですが、なくても美味しいし、おうちにある果実酒でも風味は出ます。なかったらないで入れなくても大丈夫です。
ちょうどメルヴェイユの記事を書いている方を見つけました。
私たちが好んで食べるものと幼い記憶
地方の伝統菓子は、その由来やルーツを知るとより味わい深いです。
「過食費用を抑える」という動機で始めたお菓子作りですが、その中でも伝統菓子の本は、町の風景や人の空気まで伝えてくれて印象深いものでした。
そして、ふと思い出したのですが、このお菓子って自分の母親が子供の頃に作ってくれたお菓子に似てるんですよね。
わたしの母は、市販のお菓子をあまり与えず、手作りの甘さ控えめのものをよく出してくれました。当時は不満もあったのですが(スナック菓子が食べたい、とか)その中でも大好きなお菓子がありました。
中力粉(たぶん)と卵と塩と少しの砂糖とゴマを混ぜて、スティック状にして揚げてくれた「ドーナツ」。固くてボリボリ音をたててかじるドーナツの、ほんのりした甘みと塩味が大好きでした。
メルヴェイユをボリボリ食べて落ち着くのは、それを思い出すのかもしれないです。
‘’「食べる」は愛情‘’、って言いますが、子どもの頃のそういう記憶も私たちの食行動に関わっているのかもしれません。