かつて「もうひとつの世界」だったインターネットで出会った人たちのこと

 

ハリネズミとインターネット

 

『その後、再会した人もいるし、二度と会わなかった人もいる』

(映画:17歳のカルテより) 

 

昔、ドコモが出したエクシーレというPDA携帯情報端末)があったのをご存じでしょうか。私はかつて、これのヘビーユーザーでした。

私にとっては、初めてのインターネットに繋がるツールであり、自分が居た小さな世界から外の世界に繋がったツールでもあります。

その端末を通し、摂食障害掲示板やさまざまなコミュニティーでいろんな人と知り合いました。

 

初めて病気のことを話せたのも、現実世界の家族でも周りの人でもなく、ネットの仮想空間(バーチャル)で知り合った人々です。

 

「仮想空間」と今書きましたが、今のインターネットを仮想空間(バーチャル)と感じる人は少ないのではないでしょうか。SNS等が普及した今は、仮想空間というより、現実世界の拡張です。でも、当時のわたしはインターネットの中にある「もうひとつの世界」を自分が本当に認めてもらえる場所だと感じていました。

 

インターネット上のアバター(ゲーム世界の中のキャラクター)として存在している間だけ、病気を持つ人たちが自分らしさを出せる、というのを取り上げた番組を見たことがあります。アバターとして存在する世界が、彼らにとっての「もうひとつの世界」なんですね。

 

アバター療法とは

 

 「2009年から2011年に行われた、英国国立衛生研究所の総合失調症患者の治療で注目を集めた実験方法です。

アバター療法では、患者が思い浮かべる「幻聴の声の主」をアバターで作り、さらに幻聴自体も音声で再現することで、患者が自身の幻聴と対話することで治療が行われます。

 これは認知行動療法の応用なのではないでしょうか。暴露反応妨害法といって、主に不安障害や強迫性障害などの患者さんに用いられる技法です。 つまり、不安や恐怖に直面しても逃げずに、それを徐々に克服していくことで、不安をコントロール可能なものと認識することができるようになります。そうすることで不安が軽減していくんです。」

 引用:ナゾロジーより https://nazology.net/archives/1103

 

 

わたしにとって今のインターネットは「もうひとつの世界」というより、「現実世界の拡張」のような気がします。たぶん、境界線がなくなっているんです。

 

こんなこと言ったら笑われるかもしれませんが、当時ネットに入ってやり取りをする時必ず浮かんでいたイメージがあります。

ネットの網の目を、小さな船でひとりひとり飛んでるイメージです。

 

あの頃のみんなはどうしているだろうなと懐かしく思うこともあります。

 

わたしがネットで初めて参加したコミュニティ「どこでも広場」という掲示板はモペラサービスの終了とともになくなりましたが、その後有志で「ひろば21」と名前を変えて運営されていました。わたしはそこにもしばらく参加をしていましたが、いつの間にか終了して、その後みんながどうしているかわかりません。にーにゃん、ゼリーさん、えいさん、snowさん、ぶんぶんちゃん、gooさん、姫さん、懐かしいHNのあのころのモバ壺のみなさん(モバイルコンピューティング実践ノウハウの部屋、通称モバ部屋と呼ばれてました)、お元気でしょうか。

 

あのころ、掲示板にカキコ(昔は掲示板に書き込みをすることをこう言ってました)してみなさんからの返事をもらえるのが楽しみでした。家庭内サンドバックとなって毎日鼻から牛乳ならぬ出血をし、痣だらけの体で摂食障害にもなり、誰にも相談できないことが多かったあの頃のわたしにとって、みんなの返事が救いでした。

 

いまやネットは現実世界の拡張になってしまって、どこもかしこも光が溢れていて薄暗いところがほとんどなくなり、テレビと変わりありません。昼も夜もあって、光も闇もあった、「もうひとつの世界」があったかつてのインターネットの世界が懐かしい。

願わくば、もう一度そんな世界に出会いたいです。

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