「発達障害コミュニケーション指導者初級認定」
みなさんは、この資格の名前を聞いたことがあるでしょうか。
発達障害に関する公的資格というのは現在はありません。
これは、「一般社団法人日本医療福祉教育コミュニケーション協会」認定の資格となります。初級~上級まであり、初級は2日間の講習と、講習後のレポート提出で認定を受けることができます。
私は発達障害と診断されてから、2年ほどたった時にこの資格を取得しました。
学習支援レインボー教室という岡山県の教室が主催となって開催されるこの資格の講座、全国で定期的に行われています。発達障害の子供さんを持つ方、施設の方、学校関係の方には興味深い講座ではないでしょうか。
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どんな人が参加するの?
たまたま見たネットのイベント情報で知りました。
私が参加した時も、保健師さんや障害児の教室や施設、教諭の方、子どもを持つお母さんが多かった印象です。
当事者として参加していたのは(たぶん)私一人でした。
こういう講座に受講料を払って参加しようとするだけあって(職場が出して参加させたってところも多かったみたいですが)、隣の席の人も優しい感じの人で気さくに声をかけてくれました。お昼も‘ぼっち’にならずにすみました。
過食嘔吐がひどかった時は、お昼は‘ぼっち’の方が良く、むしろ「そんなとこに一人でいないで一緒に食べようよ!」と言われると殺意が沸くレベルだったのですが、ずいぶん変化したものです。
講座の期間や内容について
正直なところ、2日間の座学で各数時間とは言え、体力に自信がなく(集中力も)講習を受ける気力もなかったのですが、コンサータと注射のおかげで何とか受講することができました。(授業の後半は、熱でつらくあまり記憶がありません・・・)
私はスライドなど動く対象をうまく見ることが出来ないのと、人の声の聞き取りが苦手なため「録音させてもらえませんか」と聞いたのですが、ここでしか話せないことがあるため、ということで録音は不可でした。その代わり、スライドの写真は何枚でも写して大丈夫でした。
発達障害の特性ごとの接し方や、コントロール、発達障害の当事者の不自由さの体験など、大変興味深く勉強になりました。わたしは、「(発達障害の)自分のことを知りたくて参加しました」と自己紹介したのですが、そのような動機は私くらいでちょっと恥ずかしかったです。みなさん「子供たちの指導に役立てたい」とか「子供が発達障害で」というきちんとした動機のある方ばかりでした。
どんなワークショップをしたのかをちょっとご紹介すると、「頭の中で森のくまさんを歌いながら、足をぐるぐる回しながら、目に入ってくるものを口に出して言いながらメモをしながら、目の前の人の話を聞く」という感じです。
これが、「発達障害の人の日常です」と講師の方が言っていたのですが、発達障害の「いろんな情報が同じボリュームで入ってくる落ち着かなさ」が参加者にもよく伝わっていました。
また、講座終了後のノイズキャンセリングイヤホンの体験では、少しフィルターを経たような感じになるものの、人の話し声が頭に入って来やすくなり、すごい!と感じました。ただ、お値段がなかなかするのがネックです。
裏テーマ「できることしかできません」
この講座のテーマは「できることから少しづつ」だったのですが、裏テーマは「できることしかできません」です。
学校や社会では、見た目が同じだと同じようにできない事を責められます。
そもそも、なんでなんでも同じようにできないといけないのかと思うのですが。
「できることしかできません」と言えるようになったら、だいぶ楽になるのになあ・・
と思いながら、言えなかったから体まで壊してしまった私です。
発達障害が身近なひとも、そうじゃない人も受けてみた方がいい
多様性を受け入れる社会の実現に向けて、近年はさまざまな制度がありますが、いまだに「知らない」ことからの偏見や誤解も多いのではないでしょうか。
学校や会社で指導する立場の方、人事の方はぜひ受けて欲しいです。
私が勤めていた会社もそうなのですが、制度ばかり立派で、周りの理解や現実的な仕組みができていません。「実際に障害のある人の目線を体感できる」このような講座に触れる機会が、もっと浸透していったらいいですね。