「治療と仕事の両立」って実際どれくらい現実的なのか

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ブログにも書いているのですが、私は摂食障害を20数年、数年前に発症した慢性疲労症候群発達障害があり、現在は療養生活を送っています。

療養生活に入ってしばらく、「早く仕事に戻らなければ」という焦りから生活記録をつけたことがあるのですが、一日のほとんどを寝て過ごしている状態に自分でも「これで元のような社会生活が送れるのか・・・」と一時期かなり不安でした。

 

ちなみに、慢性疲労症候群とはこんな病気です。

 

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)とは

 

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、「労作後の不調」(労作後の全身性労作不全)を特徴とする多系統慢性疾患(WHO国際疾病分類では神経系疾患)です。

労作後の不調とは、PEM、または、クラッシュと呼ばれ、体を使う活動、頭を使う作業の後、激しい消耗、衰弱、症状の悪化を引きおこし、何日も、何週間も、身動きの取れないほどの症状に苦しむ全身性労作不全のことです。睡眠や休息で回復する一般的な疲労とは異質のものです。

免疫障害、神経機能障害、認知機能障害、睡眠障害、自律神経障害を含み、その他の症状に、広範囲の筋肉痛・関節痛、咽頭痛、リンパ節圧痛、頭痛などがあります。  

厚生労働省調査では、患者数約10万人と推定され、患者の3割が寝たきりか、容易に家からでられません。

成人患者の0~6%しか発症前の身体機能を取り戻すことができません。

病態は不明で、有効な治療法もありませんが、最新の研究では、脳の炎症、免疫異常が報告されています。

 

引用:まーくハウス&ぷろじぇくと

https://www.markhouse-projects.com/筋痛性脳脊髄炎-慢性疲労症候群-me-cfs-とは/

 

 

現在は、筋力低下により物の保持や指先の力が必要な作業はうまく出来ませんが、パソコンを打つことはできます。

比較的体調がいい日もあるのでそんな日は買い物に連れて行ってもらったり外食したり・・と短時間ですが気分転換もできています。自宅の徒歩5分圏内にコンビニや複数の飲食店が多数あるエリアに住んでいるのがありがたいです。

いつ具合が悪くなるかわからないので、”すぐ自宅に帰れる距離”というのは大事なんですよね。もし、車で出かけなければ生活用品が手に入れられない場所に住んでいたら、タクシー代で破産していたかもしれません。

 

「治療と仕事の両立支援」について

先日、通院先の病院に置かれていたパンフレットで知った「治療と仕事の両立支援セミナー」に参加してきました。

「治療と仕事の両立支援」という言葉を耳にしたことはないでしょうか?

 

厚生労働省は平成28年2月に、疾病を抱える労働者が治療を行いながら働いて行けるための職場の安全配慮・制度の整備などを行うガイドラインを作成しています。

ガイドラインを元に、すでに環境整備が進んでいる企業、試行錯誤しながら最適な取り組みを模索している企業などさまざまな現状があります。

具体的な安全配慮や環境整備の例をあげると

 

安全配慮

  • 体力が低下した患者に、負荷の高い作業をさせない
  • (筋力の低下→4キロ以上のものを持たせないなど)
  • 出張・遠方の勤務など体力的負荷の大きい業務をさせない
  • 部署の移動、担当業務の変更
  • 通院のために休暇を取りやすくする配慮

 

環境整備

  • 時間単位での有休の取得(通院配慮)
  • 勤務時間の調整・時短勤務など
  • 病気休暇の拡充
  • 勤務間インターバル制度(勤務と次の勤務の間を一定時間以上空ける)
  • テレワーク(自宅勤務)
  • 相談窓口を設ける

 

などなど、さまざまです。

 

ちなみに、私が以前働いていた職場は不規則勤務があったため、この”勤務と勤務の間を一定時間以上(例では11時間ほど)空ける”というのがなされていませんでした。夜勤で夜中の0時~1時まで仕事をした後、翌6時過からまた職場に入る(宿直室はないため、一旦帰宅する)という「ほぼ眠れない」勤務が常態化していました。

当然、定年を迎える前に体の不調を訴える人も多く、かなりの人が病気を発症・早期退職を選択しています。

 

「治療と仕事の両立支援」は働く人に本当に有益になっているか

出席したセミナーは「治療中の患者も対象」とあったのですが、実際はほとんど企業の人事担当者や医療・福祉の関係者だったように思います。(スーツ比率が高かった)

「仕事と治療の両立支援セミナー」は各地で行われているのですが、どちらかといえば制度整備をする側に向けてのセミナーなのでしょう。

 

事例についても、企業側からの制度整備と活用の事例紹介で、「では、実際それを利用する側の社員(治療と仕事の両立対象者)はどう感じているのか」という部分には触れられずに終わったからです。

もちろん、「がんからの復職」(ほぼほぼ事例は”がん”治療からの復職でした)の社員へのサポートも素晴らしい取り組みなのですが、制度は"それを使う側から見てどうなのか"という部分は大切だと思います。

 

 

「健康優良企業ホワイト500」に疑問 

この取り組みの中で「健康優良企業・ホワイト500」という、健康経営をしている会社が企業規模ごとに選出されている一覧を見たのですが、ふつうに「あれ?これ超ブラックやんけ」という会社もしれっと入っていました。どういう基準なのでしょうか。

 

健康経営とは

健康経営とは、社員の健康を経営の基盤として位置付けるものである。

仕事ができるような健康状態にサポートしていくことに投資をすることを「健康経営」という

 

就活生はこれを参考にするということなのですが、くれぐれもご注意ください。

ネットの口コミより、中の人の声を聴くのが一番ですよ。その企業を辞めた人の話なんか特に参考になると思います。去る人間に砂をかけるような対応をする企業は、中の人も大切にしていないことが多いです。

※もちろん、この「健康優良法人ホワイト500」の中には本当に社員ひとりひとりのことを考えて健康経営を目指している企業もあると思います。

 

「治療と仕事の両立」の現実

実際、治療と仕事の両立支援を行っている「産業支援センター」というところに相談しに行ったことがあるのですが、わたしにとってはあまり有益ではありませんでした。

主治医と産業医、患者と企業を結ぶ1つに「両立支援コーディネーター」というのがあります。病院を通じて相談予約することで相談ができるのですが、これが非常に疲れました。

 

病気になって治療している人は、日常生活だけで疲弊していることも多いです。

状況説明する上で、ひな形のようなものがあればそれに沿って答えていくだけなので楽なのですが、一から患者主導で話を進めていかなければいけません。(この部分については事業所によるのかもしれませんが)

病気になると、経済的な不安・身体の痛みのつらさ・将来や生活への不安・心身機能の低下など、たくさんの問題襲ってきます。問題がありすぎて、自分が何に困っているのか、何が不安なのか、何がして欲しいのか整理できていない人も多いと思うのです。

 

そういう人が、もっと楽に相談できる両立支援の形になっていけばいいなと感じました。もちろん、相談窓口や支援の窓口が増えることは大変ありがたいのですが、なるべく小さなストレスで相談できれば利用者ももっと増えるのではないでしょうか。

 

 「治療を受けながら働く人を”サポート”する」という考え方だと、同じく働いている他の社員からなかなか理解を得られないことも多いです。病気の治療をしながら働いていた女性が、結局は「会社に迷惑をかけるから」という理由で退職した例も見てきました。いくら企業が制度を導入したり上司の理解が得られたとしても「あのひとだけずるい」「甘えている」などの声を周りから受けることもあります。

 

これを気にしないで働いていくのは、なかなかに強靭なメンタルが必要になるでしょう。ただでさえ、病気治療で心身ともに疲弊しがちな人にとっては周りの声のストレスと言うのは大きな負担だからです。

 

個人的には、「すべての人の理解を得る」なんてことは不可能だと思っています。

また、理解は得られなくてもいいと思います。

同じ環境下で、別の扱いをされるというのに不満を持つひともいるでしょう。

いざ自分が病気になって、同じ状況になれば助けを求めるけれど、そうでなければ他人の状況を理解できない人も多いからです。

 

さまざまな事情があっても、働くことを選択できるように

今後「治療と仕事の両立支援」を考える企業の方にお願いできるとすれば

今ある環境以外での働き方の選択肢を増やして欲しいと思います。

慢性疲労症候群のように、常に微熱や疲労感・体の痛みがある病気だと、同じ場所で持続した時間の作業を続けるのが難しいです。かといって、1時間に1回の休憩をはさむ働き方は会社の中では許されません。

働き方改革が進んでいるとはいえ、IT関係の企業や仕事をしている人以外はまだどうしても就業場所へ出社するという働き方が主流です。

 

今後自分が体の負担がなるべく少なく働けるのは、テレワークだと思っています。

セキュリティ対策などの問題でまだ導入している企業は少ないようですが、「治療と仕事の両立」としては一番ベストな働き方です。ただ、すでに導入している企業も、試行段階などでなかなか広くは展開していないようです。

テレワークを導入している企業の例を挙げると「サントリーホールディングス株式会社」は約4万人の社員のうち、テレワークを選択している人が10%もいます。(2017年現在)※参考URL「SUNTORY ワークライフバランスの推進」より

ワークライフバランスの推進 サントリーグループのサステナビリティ サントリー

 

余談ですが、わたしが受けた「治療と仕事の両立支援セミナー」のパネルディスカッションで医師の方が言っていた「いや、働かせるの無理でしょ。そんな環境用意できないでしょ」という言葉が印象的でした。

事例は、電磁波にさらされる環境では病気に深刻な影響を受けてしまう社員が「死んでもいいから働きたい」と希望したけれど復職させられなかった、というものです。

その企業は、会社内で働くには電磁波にさらされる環境であるということですが、働く場所を固定しない働き方がもっと増えれば、違ったのかもしれないと思ったのです。

ちなみに、テレワークの導入には助成金制度(目標達成で150万円)があります。

 

病気になってから思うのは、「働く時間をなるべく少なくしよう」ということでした。

 

自分が体調を崩すことなく働けるラインが見えるのはまだ先なのですが、「会社で働く」という時間をなるべく少なくしていきたい。収入を得る手段にはさまざまなものがありますが、自分が一体何をどこまでできるかわからず模索中です。

 

もちろん、がっつり働きたい人はそうすればいいと思うし、わたしのように体を第一に考えて治療しつつ働きたいという人もいる。そういう様々なニーズに応じた働き方が選択できるようになれば、もっと幸せになる人も増えるのではないでしょうか。

 

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