「歯を見せて笑えない」
以前に書いた過食嘔吐とトイレ(浄化槽)問題と同じく、摂食障害(過食嘔吐)が長くなると出てくる悩みです。
過食嘔吐の人は、食事が多量で長時間に渡ることが多いため、むし歯になりやすいです。私は嘔吐してもすぐに歯磨きをしているから大丈夫!と思っている人もいると思いますが、一般の人と摂食障害の方の場合の歯磨きのタイミングはちょっと違います。
歯磨きのタイミングにについて、公益社団法人 日本小児歯科学会のHPでこのように書かれています。
ところが、最近になって、食後すぐに歯をみがくと、あたかも歯が溶けてしまうというような報道が新聞やテレビで伝えられたため、現場がやや混乱しているようです。
これらの報道のもととなったのは、実験的に酸性炭酸飲料に歯の象牙質の試験片を90秒間浸した後、口の中にもどしてその後の歯みがき開始時間の違いによる酸の浸透を調べた論文で、むし歯とは異なる「酸蝕症」の実験による見解なのです。
引用:公益社団法人 日本小児歯科学会よりhttp://www.jspd.or.jp/contents/gakkai/information/2012_01.html
一般の方は、食後すぐに歯磨きをした方がいいのですが、摂食障害(過食嘔吐)のように常に歯が胃酸にさらされている状態の人の場合は、食後すぐに歯を磨いてしまうと傷んだ歯をさらに削ってしまうことになり、酸蝕(さんしょく)症が悪化してしまします。
歯磨きのタイミングとやり方の目安としては
①嘔吐後は歯を傷めない口腔洗浄剤などでよく口をすすぐ
②1時間以上たってから歯磨きをする(歯を守る成分が入ったもの)
が理想です。
過食嘔吐を続けていると、歯が薄くなる
長年過食嘔吐をしていると、歯が変色し、酸でエナメル質が溶けて歯が薄くなり透き通るようになります。固いものを食べていないのに、歯が欠けてしまったりもします。
そして、なかなか病院に行くことができずに放置しているうちに、大部分の歯を失ったりします。
私の場合は、20年に渡る摂食障害で人の何倍もの食事をしていたので、歯にかかる負担は相当なものでした。
一日あたり、控えめにみて3人前の食事を取っていたとして、10年で30年分、20年で60年分です。つまり私の歯は、実年齢の3倍は年をとっていることになります。
30代だと90歳の歯の状態です。(実際はもっと多いと思いますが、怖くて計算したくありません)
例にもれず、歯の状態が悪化しても歯医者に行くことがほとんどなかった私ですが、これまでに数回は治療をしたことがあります。いずれも、前歯が折れたり欠けたりと「明らかに見た目がまずいよね」という状況になってからでした。
折れてしまった歯も、ある程度お金をかければ見た目を回復はできますが、元のようにはなりません。わたしも、歯には強いコンプレックスがあり、歯のことで人から「スラム街の人みたいだ」と言われてとても傷ついたことがあります。
胃酸から歯を守るための予防策
過ぎてしまったことを後悔しても仕方がないと考えるようにして、残っている歯をなるべく守るようにしましょう。
摂食障害と付き合いながら歯を守る対策は、歯医者さんで教わりました。
私は、歯を治療しに行くときに、歯医者さんに摂食障害のことを相談しました。
吐くことをやめられない前提で、できる対策はないか聞くと「それでは、吐くときはマウスピースをつければ胃酸から歯を守れるのではないか」と言われました。
自分の歯に合わせて作るのでちょっと時間はかかりますが、保険適用で5000円以内くらいで作れました。(病院によって異なるかもしれません)
実際、吐くときにわざわざマウスピースに付け替える余裕があるか、といえばあまりなかったのですが、きちんと使用すれば対策になります。
まだ若い方は特に気になると思うので、機会があれば歯医者さんで相談してみるといいですよ。