食行動クライシス~摂食障害の強い飢餓感で爆食いしてしまうのを防ぐ方法~

「お腹が空きすぎて何も手につかない。。」

こんな経験はないでしょうか。タイミングよく食事が取れたらいいですが、長引く会議や仕事、予定の関係で思うように食事が取れない。そんなことって誰でもありますよね。摂食障害の方以外でも、耐えられない空腹に襲われることはあるんです。

でも、摂食障害の人の空腹感はちょっと違います

なぜ耐えられないほどの空腹感がおこるのか。今回はその原因と対策に触れてみたいと思います。

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耐えられないほどの空腹感がおこる原因 

まず、一般人と摂食障害のひとの空腹感の違いについてです。

わたし自身が嘔吐を伴わない過食症になった経験がないため、今回は拒食症や過食嘔吐を抱える人の空腹感についての考察となります。

拒食症や過食嘔吐の場合、体に栄養自体が貯えられなくなりがちです。特に拒食症については、食事が極端に減るあまり生理が止まったりする人も少なくありません。生命を維持するのがぎりぎりで、他の機能まで栄養が行き渡らないからです。それと同じく過食嘔吐についても、体に貯えられる栄養が少なくなっています。そのため通常、人が空腹状態になった時に、脂肪をエネルギーにして燃やしたりするのですが、その燃やすための貯蓄(エネルギー)が不足しているのが耐えられない飢餓感の原因と思われます。

食べたくないものを食べて過食嘔吐に走るのを防ぐ方法 

 空腹時、少し食べるつもりが止まらなくなり、もうどうでもいいや、と手当たり次第に過食してしまった経験がないでしょうか。わたしも、この食前や食間の空腹がコントロールができないために、20年に渡り摂食障害を治すことができませんでした。

しかし現在は、ある日を境にほぼ摂食障害が治ってしまいました。そのきっかけについては、また別の機会にお伝えしたいと思います。

食べたくないものを食べて、満たされないままにどんどん食べてしまうのを防ぐには、自分にとって安全な食べ物を常備しておくことです。私の場合は、吐かずに食べられるもの(安全フード)と過食嘔吐の時に食べるもの(過食フード)が割と明確に分かれていました。この、自分にとって安全な食べ物を家庭やかばんに常備しておくことで、予想外の爆食をある程度防ぐことができます。

ローカロリーで満足感の得られるおすすめの食べ物

拒食症、過食嘔吐に陥っている人が避けがちな食べ物は、カロリーの高いものや満腹感の高いもの(腹部膨満感が不快になるため)ですが、ローカロリーなものは血糖値が上がりにくくあまり空腹が満たされません。拒食症だった頃のわたしは、スキムミルクや無糖ヨーグルトを好んで食べていましたが、美味しかったかと言えばそうでもありませんでした。ただ、たくさん食べてもカロリーが低く、骨や筋肉を作ってくれる食品のため罪悪感なく食べられると言えます。

また、甘くコーティングされた小魚やアーモンド、大豆が一緒になったお菓子も、噛み応えと満足感が得られておすすめです。ごはんやパンを食べることに抵抗のある方もいると思うので、その場合は上記の食品をおすすめします。

 注意が必要なのが、カロリーメイトなどの機能性補助食品です。ビスケット状のものがあり味も美味しく栄養が取れるのですが、口当たりが軽いわりにカロリーが高いものが多いため、脳が満たされずに追加で何かを食べてしまいがちです。

家庭に常備しておくものでは、ローカロリーの麺を使用したインスタント麺なども良いでしょう。通常の袋麺のカロリーが約500キロカロリーとした場合、半分くらいのカロリーで同じ満足感が得られます。無糖ヨーグルトの自宅での美味しい食べ方としては、コーヒーフィルターを使って一晩水気を切ったものにはちみつをかけて食べると、チーズケーキのような食感になり最高です。分離した水分も乳清といって栄養価が高いので捨てない方が良いです。

イカロリーを避けている人でも、「チョコレートケーキをどうしても食べたい!」って思う時ありますよね。そんな時は、なんでも冷凍術です。フルーツなどにも良いですが、スポンジ系には特に使えます。わたしは、以前クラシックバレエを習っていたのですが、その時の先生がポパイのオリーブのように大変細い方でした。オリーブちゃんと呼ばれていたその先生に「先生、チョコレートとか食べないですよね?」と聞いたところ「えー食べるよお~」と言われたので「えっ、先生も食べるんだ!」と思いよくよく聞くと「一週間にひと欠片くらい」だそうで。

そんな一週間にひと欠片では満足できないあなたにも大丈夫です。

方法は、スポンジ系のケーキを冷凍して薄めにスライスする。これだけです。

「えっ、冷凍したらカチカチになって食べられないんじゃないの?」と思ったあなた。大丈夫です。シュークリームなどクリーム系にも使えるのですが、スポンジはカチカチになりません。そして、これなら通常の半分~3分の1の量でも満足できます

ふつうの食事がわからなくなっているあなたへ

今これを見ているあなたが、もし自分が「治らないかもしれない」と思っているのなら。20年以上摂食障害だった私も、そう思っていました。最初の10数年は1食もまともに取れない日が続き、収入以上の金額を使い、一日に何時間も過食に費やしていました。仕事中の食事ですらまともに取れていませんでした。

16年を過ぎたあたりから、過食嘔吐とある程度共存できるようになり、一日2食は普通の食事が取れるようになりました。しかし、一日1回も過食をしない日というのはなく、私には、過食嘔吐が日常を普通に回すために必要不可欠のものでした。この生活から抜け出したい、という気持ちと、自分が治りたくないのかも、、という気持ちの両方がありました。「普通の1食がわからない」と言うと、この病気になったことのない人には「何を言ってるのかわからない」と言われます。

「ふつう」がわからなくなるのがこの病気です。

ですが、アルコールやギャンブルと同列に嗜癖障害と呼ばれるこの病気には、変化が訪れる日が来ます。それが恋愛なのか、生命の危機に瀕したときなのか、または生きがいを見つけたときなのか、年月の力なのか。あなたにとってのその時は必ず来ます。

 

回復に近づいた今でも強い空腹感に襲われる時はありますが、食事の時間を「ただふつうに食べること」だけに費やすことができる今を、しあわせに思います。

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